雨の中、盛況に終了 非公開の尼門跡寺院・光照院特別見学会

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「光照院門跡特別見学会 〜本堂ならびに昭和天皇ゆかりの常磐会館 (旧・昭和御大典大嘗宮朝集所)を訪ねて〜」(主催:一般社団法人京都府建築士会)が6/30(日)に開催されました。
毎年7/1「建築士の日」を記念し、また、広く一般の方々に建築への興味を喚起するイベントのひとつとして、同会の女性部会が主管され、弊社は企画プロデュース・運営支援として関わらせていただきました。
通常非公開の浄土宗寺院・光照院門跡(京都市上京区)を特別ツアー形式で巡る本イベント。
明け方かなりの雨で心配しましたが、開催時は小雨となり、計24名のご参加のもと無事終了しました。

さて、同院は南北朝時代の1356(延文元)年、後伏見天皇の皇女・進子(ますこ)内親王によって室町一条に創建。1477(文明9)年、後土御門天皇から現在地に寺地を賜り、代々皇女が入寺され、「常磐御所」とも呼ばれた皇室ゆかりの尼門跡寺院です。

数年ごとに不定期で特別公開をされていますが、今回は鎌倉時代初期に造られた本尊・清凉寺式釈迦如来立像が祀られ、80面の花天井も見事な本堂、五葉松を中心とした庭園を臨む書院、昭和天皇御大典の大嘗宮朝集所の一部を移築した常磐会館と、まさに”フルコース”で見学させていただきました。

特別公開時は撮影NGですが、特別のお計らいにより、ご本尊など仏像に向けて以外はすべて撮影許可(個人で楽しむものに限り、SNS等はご遠慮願う)をいただき、みなさん思い思いに写真を楽しんでおられました。

光照院本堂

今回の見学会を企画するにあたって、主目的のひとつが光照院が所有する文化財の保護・継承への関心喚起です。
特に、昭和御大典後、全国各地に下賜された関連建造物は近年滅失が進み、同院の常磐会館は希少な現存例でありながら、2018(平成30)年の台風21号など、近年の風水害で屋根部分が大きく損傷。修復費用が巨額で応急処置に留まっており、いまなお雨漏りや外壁の崩落など劣化が進み、その保存継承が危ぶまれています。
撮影許可をいただいたのは、そういった損傷箇所を余すことなくご覧いただき、ひとりでも多くの方々に写真を通じて記憶してもらうためでもありました。

今回は、開催に協力いただいた公益財団法人京都古文化保存協会の茂(しげる)事業課長による同院の縁起、本堂・本尊の解説のほか、書院にて庭園を眺めながら、伏見浄香門主による、ご自身が伏見宮家に入られたいきさつやこれまでの人生など(私も初めてお聞きするお話ばかり!)の非常に感銘深いお話もありました。

光照院門跡特別見学会〜書院でお話しされる伏見浄香門主

また、昭和御大典の建造物に詳しい京都市文化財保護課・原戸喜代里氏(文化財保護技師)による講演『昭和大礼と常磐会館』も行われ、京都御苑からどのような経緯で下賜・移築されたか、常磐会館として元の建物がどう改変されたかなど、(私もそうですが)歴史的建造物ファンの琴線に触れるお話もいっぱい。

予定をオーバーし、あっという間の約2時間でしたが、御朱印や門主お手製のお守りなどの授与にも、多くの方が同院支援の一環として応じていただき、企画した立場として本当にありがたく思いました。
格式高い尼門跡寺院の歴史と魅力を体感いただき、また、昭和天皇ゆかりの貴重な遺構の窮状をつぶさにご覧いただくことで、同院所有文化財の維持・継承への支援の輪が広がる契機になればと考えております。

光照院門跡、京都府建築士会、京都古文化保存協会ならびにご参加いただいた皆さまに、この場をお借りしまして心より御礼申し上げます。

■主催:一般社団法人 京都府建築士会
■協力:公益財団法人 京都古文化保存協会
■企画協力:株式会社ヘリテージハブ京都

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