被災地に思いを馳せたまち歩き

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開催を迷った「【京都下京】新春・神社仏閣ウォーク」

令和6年元日、能登半島を中心に最大震度7の大地震が起こりました。
地震発生時、私は、1/3,4,6と開催予定の表記イベントの資料作成をしているところでした。
京都でもかなり長く横揺れが続き、これは尋常ではないとTVをつけ、リアルタイムで少しずつ届けられる被害のニュースに言葉もありませんでした。

京都旧市街・下京の中心部、現在では京都有数のオフィス街・四条烏丸の南側に点在する古社寺や歴史上の人物ゆかりの旧跡。
平安時代から紡がれた重層的な歴史の痕跡がそこにはあります。
近世以降は天明の大火(1788年)、禁門の変での大火(1864年)で焼け野原となり、その間には、愛宕山付近が震源とみられる直下型の文政京都地震(1830年)が発生しています。

そうした災害を乗り越えて都度復活し、京の町衆が大切に継承・護持してきた文化財は、市内中心部の地価高騰などで人口減が加速し、保存が危ぶまれています。
新春を寿ぎながら、のんびりと町中を巡り「こんなとこにこんな文化財・文化遺産があるのか」と、一人でも多くの人に、まずはその存在を知ってもらう。そして、大火や地震などの災害史も案内し、文化財の防災にも関心を持ってもらうことが重要なテーマでしたが、能登半島地震により、現在進行形で苦しまれている方が多くいらっしゃる中で、そのまま実施していいのかと大変迷いました。

京都以外の遠方からお申し込みの方も多く、急な中止はご迷惑をおかけすること、また、10数箇所の神社仏閣で被災地の安寧を祈ることもできると思い、予定通り開催しました。
ご参加いただいた皆さんに、開催までの葛藤や思いをお話ししたところ、行く先々で静かにお祈りしていただけたのが印象的でした。

いまなお被害の全容がわからないという未曾有の災害で、僅かながらの募金と、祈ることしかできませんが、亡くなられた多くの方々にお悔やみを申し上げるとともに、本当に一日も早く被災地に日常が戻るよう、心から祈っています。


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